坐骨神経痛のお話し

お尻が何だかピリピリする。太ももの裏側がピリピリする。膝裏が何だかピリピリする。

こういったお尻から足先にかけて、更には表より裏側に多いピリピリは大半が坐骨神経痛です。下半身を支配する神経の中では規格外に太い神経である「坐骨神経」に沿って走るピリピリ。ここでは坐骨神経痛についての紹介をします。

その1:坐骨神経痛って何だろう?

まずは坐骨神経痛をかみ砕いて理解してみましょう。「坐骨神経痛」とは「坐骨神経に沿って起こる痛み全般」を示す言葉です。なので坐骨神経が原因であればお尻の裏に起こっていても坐骨神経痛で、ふくらはぎの裏側に起こっていても坐骨神経痛となります。

非常に範囲が広いのが坐骨神経痛の特徴なんですね。

人体最大の神経に走る神経の異常です

坐骨神経とはどんな神経か?表現するなら「とにかく太い」「とにかく長い」神経だと言えます。人体で最大の長さを誇る神経です。

ただ、長くて太いのは間違いないのですが「坐骨神経」という1本の神経という訳でもなくて、実は「2本の神経が合わさったもの」が坐骨神経の正体です。ですので坐骨神経痛とは「ニコイチ神経」だと覚えておきましょう。

  • 神経1:総腓骨神経
  • 神経2:脛骨神経

「坐骨神経=1本の長くて太い神経」というイメージが定着していますが、それは違うという事だけ小ネタとして覚えておいてください。使う事は余りないですが、結構「おぉ!」と驚いてもらえるネタです。

案外、坐骨神経痛は身近な症状です。

坐骨神経痛は生活の中に結構溢れています。特に運動不足が深刻になりつつある現代社会では腰痛や肩こりと並んで「日常の症状」として問題視されています。歩くことが少なくなってきているのが特に大きく影響しており「歩行習慣の減少」は坐骨神経痛の1要因として注目されています。

臨床から見る限りは「運動不足」による筋力の問題というよりも、筋力低下から起こる「姿勢の崩れ」が原因に感じます。

実はその違和感、坐骨神経痛かも

坐骨神経痛という言葉自体は「中高年のもの」というイメージがあります。その為10代や20代が足に感じるピリピリとした違和感を「坐骨神経痛かも」と認識をすることはまずありません。ですが認識されていないだけで実際には坐骨神経痛であるケースも多いです。

実は坐骨神経痛は年代問わずの症状となりつつあるのです。

その2:坐骨神経痛はどうやって起こるのか?

年代を問わなくなってきた坐骨神経痛。それはどうやって起きるのでしょうか。そこで坐骨神経痛はどうやって起こるのか?についての紹介をしたいと思います。

どこかで坐骨神経が圧迫されている

そもそも坐骨神経痛とは「坐骨神経に沿って走るピリピリ」全般を指します。ですので坐骨神経痛がどうやって起こるのか。という問いへの答えは「坐骨神経がどこかで圧迫されているか傷つけられているから起こる」という事になります。それ以上でもそれ以下でもありません。それが全てです。

神経痛が起こる理由は主に

  • 「神経が傷ついている」
  • 「神経が圧迫されて酸欠・栄養不足になっている」
  • 「隣の神経の情報が伝線してきた」

のいずれかです。ですので坐骨神経痛を感じたときは「原因は何だろう?」と考えてみてください。それぞれの原因ごとに解決策が変わってきます。

坐骨神経は長いので範囲がとても広い

坐骨神経は骨盤-仙骨(腰仙骨神経叢)の部分から始まり、足の指先まで続いています。それも膝裏までは足の裏側を通っているだけなのですが、そこからは「裏側をそのまま下る神経」と「脛側に出ていく神経」に分かれてしまい、更にその範囲が広がります。

枝分かれをした時点で別々の神経の名称が与えられていますが、どちらが痛みを伴っても「坐骨神経痛」である事に変わりはありません。異なる名称は便宜上つけられたものにすぎず、同一神経に変わりはないからです。「坐骨神経痛の範囲はとにかく広い」という事だけ覚えておいてください。

圧迫箇所によって「診断名」がつけられていることも多い

坐骨神経痛はその範囲が余りに広く、分岐した時点で「坐骨神経」とは別の名称を与えられている事もあります。「総腓骨神経」や「前脛骨神経」などがそれにあたります。

ですので、病院で診察を受けた際に「坐骨神経痛」ではなくて別の神経痛症状の名称が出る場合があります。それは分類上の問題となりますので余り気にする必要はありません。よく「私は坐骨神経痛じゃないの、○○神経障害なの」といった説明をされる方がいますが、それは結局「自覚症状の部位」に過ぎないのです。

その3:坐骨神経痛が起こったらどうしよう?

坐骨神経の症状ははじめは小さな「ピリピリ」から始まる事が殆どです。ですので発症直後に深刻に考える人はまずいません。ですが放置をしていると悪化していく可能性もありますので、やはりできる事から取り組んでいくのが最善です。

そこで今回は坐骨神経痛が起こった場合にどうすべきか、についての紹介をしていきます。

深刻になる症状は稀です。

坐骨神経痛が深刻な症状に発展することは稀です。特に「時々ピリピリした違和感を感じる」程度の症状であれば「身体が少し疲れているのかな」と少し意識する程度で十分です。深く考えすぎるとそれ自体がストレスとなりますので要注意です。

ぐっすり眠れば改善する事もあります

坐骨神経痛が起こる原因の多くは「疲労」です。特に運動不足や自律神経の緊張による筋ポンプの機能不全で坐骨神経への栄養・酸素供給が不十分になる事が多いです。そんな時にはまず「ぐっすり眠る事」がポイントです。交感神経が優位の状態では血流は限られた部位に限定されてしまいます。睡眠によって副交感神経もしっかり刺激されれば、身体の隅々まで血液が流されるので坐骨神経へも酸素と栄養補給が促進されるのです。

睡眠はとても簡単にできる上にとても効果的な坐骨神経痛への対処法と言えるでしょう。

はっきりとした痛みを感じる場合は専門家へ

坐骨神経痛は主に「ピリピリ」とした違和感であることが多いですが、症状が深刻になっている場合には「ビリビリ」や「ビィィーン」といった鋭い痛みやツッパリといった症状になっていきます。この場合は症状を抑える事よりも悪化させないことがまず大切です。

十分に睡眠をとっても改善しない場合は近くの専門家に相談をすることをお勧めします。身体が正常で坐骨神経痛だけが起こるという事はまずありません。身体に何が起こっているのかをしっかりと調べてもらいましょう。

対処は基本的に「生活の改善」で可能です

坐骨神経痛への対処は基本的には「生活改善」が最も簡単で最も効果的です。具体的には「運動習慣の追加」と「体重コントロール」となります。体重が適正の場合は「運動習慣」に加えて「自律神経のバランス調整」をしっかりすると坐骨神経痛には効果的です。

臨床で見ている限りは「自律神経のバランスが崩れている」人が増えてきている印象です。特に睡眠不足と運動不足のコンビは非常に神経系の問題を起こしやすいです。そこにスマホや携帯ゲーム機が重なってくると偏頭痛や視力低下、不眠、睡眠障害なども出てきます。

その4:坐骨神経痛を改善する方法

我々が思っている以上に生活の中に潜んでいる坐骨神経痛ですが、自分で改善させる方法は幾らでもあります。自分で取り組むもよいですし、専門家の力を借りて取り組むも良いです。時間やお金、手間といった色々な要素を検討しながら自分にとってベストな方法を選択しましょう。

大前提:原因によって解決策は変わる

一言で坐骨神経痛といってもその発症プロセスは個々人で全く異なります。結果として同じ坐骨神経痛が発症していても原因となる筋肉や関節が違うと最善の解決法も当然変わってくるのです。そこが人間の身体の難しいところです。

「坐骨神経痛専用の治療法」というものは恐らくありません。あるのは「○○によって起こった坐骨神経痛への対処法」です。私が「自分のケースを分析して原因を追いかける事が大切」と伝えているのはそういう事なのです。

方法1:体重調整が抜群の効果を誇ります

体脂肪が男性なら18~20%、女性なら20~23%を超えている場合は真っ先に体重調整に取り組まれた方が良いです。最近はBMIでメタボリックの判断をする傾向がありますが、当院は断固反対しています。体脂肪率が基本です。

正確な体脂肪率を図れないから駄目だ、と仰る専門家の方もいますが、体重と身長だけで判断をするBMIの方がその100倍は乱暴だと思います。BMIは筋肉質の人間をことごとくメタボリック診断してしまいます。

方法2:運動習慣も大きな効果を誇ります

体重調整の次に効果的なのは「運動習慣」です。現代の坐骨神経痛は「動かない生活」が原因となっているケースが多いです。特に歩かない事による「お尻の筋肉の縮小」は下半身への血流を大きく低下させてしまいます。

車やバイク、電車やバスといった便利な移動手段が増えてきていますが「歩く」という行為は「時間がかかる」以前に

  • 「身体をしっかり作る」
  • 「全身に血液を循環させる」

というとても重要な役割を持った「日常生活の一コマ」です。是非、日常生活の中に取り入れてください。

方法3:ぐっすり眠ることも効果的です

自律神経のバランスが崩れることで坐骨神経痛が起こるケースも増えてきています。これはスマホやインターネットを日常的に利用している10代~20代の世代に非常に多いです。ただ症状も軽度である事が多いですね。

自律神経のバランスが崩れて起こる坐骨神経痛は「交感神経優位の状態」で頻繁に起こります。身体が常に緊張してしまい、しっかりと血液が身体に巡らなくなっているのです。そういう場合は大体が「睡眠不足」か「入眠障害」が併発しています。枕もとのスマホなどはその代表例です。

まずは睡眠前にはスマホやインターネットを触らずにぐっすりと眠れる様にしましょう。身体と心のオン・オフをしっかりできるようになれば全身にしっかり血液が巡るようになり坐骨神経痛が改善されるケースもあります。

方法4:体幹を安定させる事も効果的です

坐骨神経痛が起こる理由に「坐骨神経の圧迫」があります。スポーツ選手などに多いのがこのタイプで、坐骨神経の真上を走る筋肉が緊張してしまい、常に坐骨神経を上から抑え込んでしまうのです。「梨状筋症候群」と呼ばれる症状がまさにこれに当てはまります。

この場合は「体幹」を安定させることで改善する事が多いです。梨状筋などの深層筋が緊張するのは内と外の筋肉のバランスが崩れている場合が多いです。一方の筋肉が働かず、一方の筋肉が頑張りすぎて緊張する。その結果、周辺の血流が低下したり神経が圧迫されたりなどの諸症状が起こります。内外の筋肉バランスを調整して、正しく機能するように戻してあげましょう。

方法5:半身浴などの保存療法も効果的です

血流障害が原因で坐骨神経痛が起こっている場合に効果的なのが「保存療法」「温熱療法」による対処です。半身浴やホットパックなどを使って温めてあげることで「緊張している筋肉の弛緩」と「血管の拡張」が同時に行われる為に血流が促進されます。

方法6:股関節周辺の強化も効果的です

坐骨神経痛で案外効果的なのがこの「股関節周辺の強化」です。坐骨神経痛を起こしている人の多くは「股関節が曲がっている」上に「膝関節も曲がっている」状態で生活をしています。その為、腰~お尻~膝にかけての筋肉のバランスがかなり崩れているのです。

この場合は坐骨神経痛の原因は股関節~膝関節からの腰周辺の歪みとなりますので関節の問題を解決して症状の改善を導くのが良いです。