日常に潜む、姿勢をゆがませるもの

日常に潜む、姿勢をゆがませるもの

実は日常生活には子供の姿勢を何気なく歪ませるものが結構あります。「え?それも関係あるの?」とビックリされる事も多いのですが、「むしろそれが影響しています」なんてこともしばしば見られます。

その1:ランドセル

殆どの親御さんがビックリされます。ですが、これはまず間違いありません。日本が誇る小学生御用達の文具入れ「ランドセル」です。これは小学校低学年の子供に顕著となります。よく、あごを突き出す形でランドセルを背負っている子供を見掛けませんか?正に猫背の始まりです。小学生が背中の肩甲骨周辺がパンパンになるなんて私は想像していませんでした。でも今はそんな時代になってきています。

大型化したランドセル

今のランドセルはA4クリアーファイルがそのまま入るようにサイズが大型化しています。低学年の場合は子供よりランドセルの方が存在感を発揮している状況です。ランドセル自体は軽量化が進められていますが、中に詰めるものが増えたら同じ事なのです。

ちなみにランドセル売り場で参考重量として良くあるのは「2㎏」の荷物です。あの広い空間に2㎏のノートやら何やらが安定せずにユッサユッサと踊る状態になると肩や腰は大変です。積載量より身体の事を優先して考えると、あまり「子供のからだに優しい設計」ではないなぁと思います。

6年間を通じて使用するのが前提になっている

冷静に考えるとかなり無茶な話ですよね。小学校1年生の子供と小学校6年生の子供が基本的に同じサイズのランドセルを使用する訳です。肩掛けバックならまだしも、背負うタイプのバッグでそれは辛いと思います。

現状はどうしても「大は小を兼ねる」形での設計になっていますので、小学校低学年では「ランドセルに背負われている」子供たちが沢山見られます。「かわいらしい」と受け止めるママ・パパも多いですが、あれは「背中と腰に蓄積する負担」が結構あるんです。

今まで問題にならなったのは調べてないから

「そうはいっても昔からランドセルじゃないか」という話が出てくるのですが、昔は今に比べると圧倒的に放課後の運動量が豊富だったのです。後、通学もテクテク歩くのが基本でしたし、途中で公園に立ち寄って遊ぶなんてことも普通でした。習い事より全身運動が日常に溢れていたのです。

今は車が増えてきたせいもあってか、車で送り迎え、帰宅後は習い事という家庭が増えています。全体的に運動の量が減り、質は全身から特定の運動の反復へと大きく変化しています。子供が忙し過ぎて疲労を逃がせる場所が減ってきているのです。

そして、ランドセルの大型化に加えて配布物の増加も重なり負担が大きくなっています。 何よりの一番の問題は「学術的に調べていない」事です。子供のからだの柔軟性についても同様なのですが、学習机に座りだす年齢から徐々に柔軟性が失われていきます。それを大々的に調査をしていないから「そんな問題は存在していない」と私は一蹴されてきました。

ですが、協力してくれた園の調査では明らかに有意差が出ていました。それと同じ事がこのランドセルにも言えると思います。 今の日本は「調べてないなら、存在しない。科学的根拠はない」という事になるのです。

安全性も考慮して、肩掛けバックやリュックを推奨する自治体も

これは直接姿勢の問題とは関係ないかもしれませんが、北摂地域では摂津市が無償で布製のデイバック型ランドセルを支給しています。また箕面市では「ランドセル型リュック」という商品を市が推奨しています。主に理由は経済的・安全性の為にという事ですが、私は健康的な観点からも良い選択肢だと思います。

その2:ダイニングテーブル

食卓を囲むダイニングテーブルは実は子供の姿勢に大きく関わってきます。これは就学前~小学校中学年あたりまでの年齢の子供にあてはまります。その理由は「大人前提のサイズ」です。つまり大人にとって快適なダイニングテーブルは子供にとっては実に不自然な姿勢を要求するという事です。

保育園や幼稚園、小学校の机に大人が座ってみた時に感じる「うわ!小さ!」という感覚ですね。子供は口にしないだけで「何かしっくりこないなぁ」という感覚を日常的に感じており、それがもはや「朝ごはんと夜ご飯の時はこれが普通」という状態にまでなっている事も多いです。

サイズの合わない机や椅子で「お行儀よく」というのは積極的に姿勢をゆがませてしまう事にも繋がるのです。 子供の猫背、円背、前に出る首、曲がる腰、首こりから肩こりまで。子供にとって高すぎるダイニングテーブルは小さな負担を子供の小さな身体に毎日蓄積させているケースがあります。

その3:コタツ

ダイニングテーブルだけでなく、コタツも子供の姿勢に影響を与える事があります。コタツの場合は大人の姿勢にも結構影響を及ぼします。背中を丸めてコタツ天板に腕や顎を載せる、そんな姿勢を大人も子供も良くしていると思いますが、あれは見事に猫背と肩コリ、首こりを作る姿勢となります。更には胡坐をかいていると腰から股関節にまで負担が圧し掛かります。

子供の場合はやはり肩周辺と猫背が心配です。頭が大分前に傾いてしまうとそれを支えようと首と肩の筋肉が常に引っ張り上げる形になってしまうので肩周辺の筋肉が常に緊張状態になってしまいます。

肩周辺がカチコチになるという事は首が固定されるという事でもあるのです。

その4:おさがりの勉強机

今は保活・幼稚園受験の一環からか、年齢差が3歳以内の近い兄弟が多いですので「お下がり文化」は少なくなってきているかもしれませんが、年齢が離れた兄弟・姉妹間のお下がり机は姿勢に少なからず影響を及ぼします。

理由はダイニングテーブルと同じで「サイズが合わない」事です。大きすぎる机は結局上半身にかなりの無茶をさせる事になりますので、肩周辺から首回りに負担が蓄積してしまいます。頭が前に突き出し猫背になりがちなのです。

椅子の高さ調整で対応しましょう

サイズの合わない机で姿勢が歪むのは「机の天板の位置が高過ぎる」為です。ですので、椅子だけは新しく用意して、なるべく自然な形で机に座れるようにしてあげてください。椅子が高くなると足がつかないというケースも出てくると思いますが、天板に乗りかかるように勉強をするよりかは負担がかなり軽減されます。

その5:二段ベッド or 高さのあるベッド

これは兄弟が多い家庭に良く見られます。二段ベッドや高さのあるベッドは「寝返りをさせない」事によって姿勢の歪みを助長します。整体の世界では「寝返りは自然矯正」と呼ばれるくらい重要で、1日の歪みを取り除く大切な仕事とされています。私も同感です。

「防ぐべき寝返り」は存在しません。からだが必要だと思ったからしている行為です。二段ベッドで枠に良く当たる子供の場合は床に布団を敷いてあげた方が良いです。からだが「もう、寝返りができない」と判断をする事が何より怖いです。

その6:親子でシングルベッド

就学前のお子さんの家で比較的多く見られます。単純に「スペース不足」です。二段ベッドと同じですね。寝ている人数と布団のサイズが合っていない為に、子供もママ・パパも寝返りが打てない、ないし制限されます。

子供と一緒に寝ているという事実が意識されていると無意識的に寝返りを打たなくなることもありますので、できればダブルサイズにするか、それぞれがシングル布団でぴったり横付けで寝るなどの工夫をした方が良いでしょう、

余裕をもって成長を見守る為に

今の時代、何でもかんでもが「低年齢化」を迎えています。

  • 歯列矯正:3歳から
  • 脱毛:3歳から
  • ホワイトニング:3歳から
  • 小児整体:生後数か月から
  • 小児頭蓋調整:生後数か月から
  • 小児鍼灸:生後数か月から
  • 小児側彎矯正:3歳から

もう凄いです。本当に凄い。それがいつ必要なのか、いつが最適なのかという正解は誰にもわからないとは思いますが、それでも早過ぎると個人的には感じています。もう少しからだの成長を信じてあげても良いのではないかと思うのです。

「早い方が良い」とする先生も多いですが、私個人としては「外から介入するよりも内からの力をサポートする」という形が子供の成長に寄り添った方法だと考えています。これは施術においても同様で「からだが自分で何とかしようとしなくなる」事を避ける為です。

「からだは常に自分で何とかしようとしている」この大前提を受け入れながら、行き過ぎないように見守り、時に働きかける。「朝の通学児童の見守り隊」みたいな形で、先導して導くのではなく、必要な時にのみ軌道修正をしてあげる様な働きかけが子供には良いと思っています。