子供の運動神経のお話

子供の運動神経・運動能力に関して「これだけ読めば大丈夫」と言える様な文章を作りたいなと思い作成しました。

子供の運動神経・能力について

ママ・パパから良く相談を受ける「子供の運動神経・能力を上げる・開放する」という件に関してですが、大人と子供では全くアプローチが変わってきます。

  • 1.子供の場合は「邪魔をしない」こと
  • 2.大人の場合は「忘れたものを思い出す」こと

大人の場合は小脳の中に「運動プログラム」が眠っている状態で、子供の場合は小脳の中で「運動プログラム」が活発に活動している状態です。ですので、

  • 大人の場合は「もう一度引き出せる様にする」取り組みとなり、
  • 子供の場合は「活発な運動プログラムを守る」取り組みとなります。

まずはこの「大人と子供」の取り組みの違いについて理解をしてください。良くママ・パパと子供が一緒に同じことに取り組むケースがあるのですが、それは「ちょっと惜しい」ケースなのです。

人は生まれてすぐに1度完成しています

人は「出生~就学前」くらいのタイミングで理想的な身体を手に入れています。つまり「からだ」は一度完成しているのです。その完成したからだが維持される事なく、磨かれる事無く、一つまた一つと機能や感覚に「蓋」がされていく。それが「運動神経・能力の差」となって徐々に表に出てきます。

多くの人は「運動神経・能力が高い」という表現を取りますが、実は「高さ」という事においては元々差がありません。運動神経が高いとされる子供は「生活の中で運動神経に蓋をされる機会が他の子供達よりも少なかった」という事なのです。

つまり、運動神経・能力を上げるには「如何にして『日常に潜む蓋』の数を減らしていくか」という点が重要となります。積み重ねるのではなく「抑え込まない」様にすることが大切なのです。

ここは子供の運動神経・能力に関して最も大切なポイントなので是非覚えておいてください。ここを勘違いすると「鍛える方向」「ひたすら練習をする方向」に意識が向いてしまい、益々「偏ったからだ」が出来上がってしまいます。

おさらい:運動神経は「満点からの引き算」の結果です

ここは本当に大切なポイントなので、もう一度繰り返します。

運動神経・能力は基本的に3歳頃までは誰しもが「100点満点」の状態にあります。そこから様々な要因でもって「‐1点」「-2点」といった減点が始まり、年長さんや小学校入学時には「80点」や「60点」といった個人差が生まれてきます。

「0点」から伸びていったのではなく「100点から降りてきた」形なのです。

健康寿命と運動神経は同じです

運動神経は私達の「健康寿命」と同じだと考えてください。生まれた時点では誰もが100点満点ですが、生活の中でどんどん減っていきます。

  • たばこ
  • 塩分の多い食事
  • 砂糖の取り過ぎ
  • 運動不足
  • 夜更かし

この様な要因の積み重ねで「減点」されていきます。運動神経も全く同じ減点方式なのです。

運動神経・能力に蓋をするのは「日常」です

生まれながらにして誰もが備えている「運動神経・能力」ですが、どのようにして「蓋」がなされていくのか。また、どうして「個人差」が大きく生まれる事になるのか。

それは「日常生活」という個人差の大きな環境要素が原因です。

私達に与えられた優れた運動神経・能力は「使う事」と「使い続ける事」で成長・維持・熟練していきます。ですが、現代社会の生活を見てみるとどうでしょうか。

  • イス
  • 自転車
  • スマホ
  • 電車
  • 携帯ゲーム
  • 食事

生活が便利に、楽になる程に「身体を使う事」が省かれ、使う部分が限定的になり、結果的に人が備えている「運動神経・能力」の多くが不要な形となりました。

そうなると「不要になったら蓋をされる」というのが人間の仕組みです。筋肉は非常に燃費が悪いのでリストラ対象になりやすいのです。

廃用性萎縮は子供にも起こっています

「廃用性萎縮」という言葉があります。筋肉が使われなくなる事で小さくなっていく現象ですが、これは良く入院患者さんに起こる現象をさしていました。

それが最近では「筋肉のリストラ」という言葉で日常生活の中でも起こりうる事が知らされる様になりましたが、実は子供にもこれは当たり前の様に起こっています。子供の場合は大人に比べて深刻で

  • 「使わないから小さくなる」
  • 使わないから成長しない

というダブルパンチです。特に「使わないから成長しない」場合は「神経促通」が極めて弱くなる為に「からだを上手に扱えない」状況になりやすいです。プログラムを引き出す神経経路が細いままになっているからです。

習い事でカバーをすると偏りが生まれやすい

子供の運動不足の解消、運動能力の開放の為に「習い事」を積極的に行うママ・パパが多いですが、現代においてはそれが「からだを歪ませる」事に拍車をかけるケースも多いです。

とにかく最近の習い事は「専門性」が強くなりすぎており「身体の使い方が偏る」傾向にあります。小さなうちから「専門家」を育てても、肝心の土台が整っていないとスクスクと育たないのです。

習い事のメリット・デメリット

「習い事はさせていたら安心」という時代ではなくなりました。専門性が高くなるにつれてどんどん身体の使い方が「特化」されてしまう為です。サッカー選手なら下半身が強すぎ、ラグビー選手は上半身に意識が向き過ぎているケースなどがその例です。

昔は「もどき」だった

昔の習い事は「それを手段として身体を使う」形が一般的でした。

  • サッカーならサッカーボールを使って遊ぶこと。
  • 野球ならボールとグローブを使って遊ぶこと
  • 水泳なら水着でゴーグルで水を使って遊ぶこと

「サッカー」も「野球」も「水泳」も「身体を使う手段」として活用しており、本格的な競技としては取り組んでいなかったのです。戦略も戦術も駆け引きも無い、ただ「皆で一緒にからだを使う」というスタイルでした。

ですので「これ、サッカーなの?」「これ野球の練習?」といった内容も多かったのですが、それは「からだを使う」という点では満点に近いものが多かったのです。

競技自体の上達は非常に穏やかな形になりますが、それとは別に「からだを思い通りに扱える」土台が整っていきますので、昔ながらの「スポーツ万能」タイプの子供が多数生まれます。

今は「そのもの」になった

今の習い事は昔に比べて本当に本格的になりました。「競技」そのものが目的となっており「アスリート」としての早期教育となっているのです。この場合は「身体の使い方」がどんどん競技特有のものに特化されていきます。

  • サッカーならサッカーの練習する
  • 野球なら野球の練習をする
  • 水泳なら水泳の練習をする

就学前~小学校低学年の段階でこういった「キッズアスリート」の教育をしていくと「競技専用のからだ」に仕上がってしまいます。ですので、他の運動に柔軟に対応できなくなるリスクが生じるのです。私が最も危惧しているのはここです

昔ながらの「スポーツ万能」タイプの人間が生まれなくなっており 「〇〇だったら負けないのにな」という立ち位置の子供が本当に増えています。本来の人間は「どんな運動にも柔軟に対応できる」汎用性の高さが最大の特徴なのです。

汎用性が高いという事は頭の回転が速いという事です

運動における汎用性の高さとは、「頭の回転が速い」という事と同義だと考えてください。

  • 1.脳が新しいルールに適応する
  • 2.自分がすべきことを導き出す
  • 3.導き出した答えに沿って迅速に行動する
  • 4.状況の変化に対して臨機応変に対応する

スポーツ万能タイプはそのスポーツ・競技を問わずに満遍なく対応します。それは「頭の回転(脳の柔軟性)が速い」からです。外から入る情報を即座に処理をして運動・行動という結果に出力する。「身体を思い通りに扱える」という事は「脳の要求に身体が応えている」という事に他なりません。

つまり、私は「からだを思い通りに扱える」様に子供を導く事によって運動神経・能力を通した「脳育」にも取り組んでいるつもりです。

子供の場合は「邪魔をしない」事が大切です。

子供の運動神経は就学前~小学生あたりで一度完成します。その後も成長はしていきますが、小脳には一通りの運動プログラムが蓄積されている状態です(※神経はまだ細い)。この段階で最も大切なのは2つです。

  • 1.促通した神経を使い続ける事
  • 2.様々なプログラムの組み合わせを経験させる事

この二つを如何に実践していくかが運動神経・能力の維持・向上に繋がります。

1.促通した神経を使い続ける事

人間の身体は「使い続ける事」で熟練していきます。

  • 1.最初の1回は「経験」となる
  • 2.2回目以降は「定着」となる
  • 3.繰り返す中で「反射」となる

物凄く大変そうなのですが、実は子供はこれを意識せずに取り組んでいます。「子供同士の外遊び」が正にそれです。何度も繰り返して遊ぶ事、時に違う遊びに切り替える事、それらは全て「経験」「定着」「反射」への大切なステップとなります。

「無駄」どころか最高の「からだの土台作り」となる、最強の「からだの学習塾」と言えるでしょう。

2.様々なプログラムの組み合わせを経験させる事

子供の小脳には一通りの運動に対するプログラムが存在しています。後はその個別の運動を「組み合わせる」事で新たな動きを可能とする応用編になります。

これも「1.促通した神経を使い続ける事」と重なるのですが、「子供同士の外遊び」が理想形です。友達と外遊びをするとき、1つだけの遊びで終わったことは無いと思います。

  • 1.色んな場所で
  • 2.色んなルールで
  • 3.色んなゲームを楽しんだ

これはすなわち「様々な動き、思考を臨機応変に使い分ける」事を自然としていたという事です。

  • 場所が変われば環境が変わり
  • ルールが変われば思考が変わり
  • ゲームが変わればリズムが変わります

これが習い事の場合は「それ専門の動きを繰り返す」だけになる為にそうはいかないのです。

昔遊びにはヒントが一杯

  • 1.鬼ごっこ
  • 2.探偵
  • 3.影鬼
  • 4.色鬼
  • 5.あっち向いてホイ
  • 6.ケンケンパ
  • 7.陣取りジャンケン
  • 8.ボール入れコーナー
  • 7.ドッチボール
  • 8.押し相撲
  • 9.公園の遊具遊び
  • 10.あちこち走り回る
  • 11.サッカーもどき
  • 12.お手玉
  • 13.おしくらまんじゅう

大人の場合は「忘れた感覚を思い出す」事が大切です。

など。その失った・忘れた感覚を取り戻す、思い出すこと。 つまりは本来の自分に、本来の身体へ戻る。立ち返るというのが当院の目指すゴールとなります。 医学的な話になると小脳の中には既に運動プログラムが作られており、「使わなくなった」事によって埃を被っている状態。その埃を取り除くには「もう一度経験(刺激)させればいい」だけです。生活の幅が広がっても「生活における運動(身体を動かす範囲)の幅が狭まっている」為に起こっているのが多くの不定愁訴なのです。 つまり僕らは「本来の人間の設計図」通りの生活をしていないという事になります。そこで当院では施術を通して 1. 「本来の人間の設計図」を理解し、 2. 「現在の自分のからだのカルテ」を書きおろし 3. 二つの図を比較しながら「両者のギャップ」を一つ一つ埋めていく※小さな変化を生活に投げ込む という流れで「元気な身体」と「身体と会話する知識と経験」を養ってもらいます。小さな問題は自分で改善し「自分の手に負えない」と自覚した時に来院をするという感じです。

レギュラー確保は「勝ち方」を覚えたら早い

レギュラー確保を第一目的とする場合、取り組む競技の「勝ち方」を覚えてもらった方が確実です。個人のポテンシャルではなく、全体を見通した上で「自分が取るべき行動」を理解する事。それができるとエースではないものの、「チームにとって欠けてはならない存在」になります。いわゆる「縁の下の力持ち」です。 派手さはないものの、ゲームメイクに関わる存在はとても大切であり、誰にでも代わりが務まるものではありません。レギュラーを確実にしたいのであれば、そういった「戦術面」の強化をしていく方が良いでしょう。 平たくいえば「相手を揺さぶれる選手」になればいいのです。

 

1つでも多くの蓋を取り除いてあげたい